すっつつつごい今更読み終えた本の記事。
今回ちょっと辛辣なこと書いてるかもしれません。
著者: 長谷川夕「僕は君を殺せない」
以前下鴨アンティーク記事でも取り上げた、集英社オレンジ文庫1周年フェアの
マスキングテープ目当てに買った本です。
職場でやったら陳列されるようになったな、と思ったら重版していたようで。
購入時は「三浦しをん絶賛!」「二度読み必須!」「驚愕のラスト!」と帯で文字が踊っていた。
ジャンルはミステリー。
●あらすじ
発端はミステリーツアーに“俺”が代理参加したことからはじまる。何も知らされずどこかの山奥の洋館に連れてこられた参加者たち。そこでは次々と本物の、参加者が殺される猟奇的な殺人事件が起こりはじめ、その後にも、参加者をはじめとした不可解な死が起こり始める。物語ではもう1人、親族の葬式が多い“僕”も語り部として、交互に1つの結末へと進んでいく。
●感想
正直、「二度読み必須」ではなかった。煽り文句を最初に見ているので、それぞれ2人の目線や出来事から、結末に向けた大どんでん返しがあるんだろうな?!と思ったけれど、わたしには深読みだったかもしれない。なんとなく中盤で伏線が回収されていたり、説明されたりしていたので、ああそういう感じかなという、きれいにまとまった感じはあった。
読み始めた際に、2人とも学生の設定だけれど、にしても難解な表現を使うから、無知な私には少し読みずらいのと、大人びているということを表現したいのか?学生である意味はあったのだろうかと疑問に思う。
その語り部2人や、物語に影響したりしなかったりする登場人物の細かい設定や後日談、何故その立場にいたのかなどの背景・設定については、読者に委ねる形なのか、委ねるにしても情報が少なすぎる(登場人物がどう思った・行動したなどはあくまで語り部の主観でしかない)から、少しもやっとしたのは否めなくて、そういう意味では執筆前にもう一度読んだ。なんだか出来事を遠巻きに追っていた感覚があったんだけれど、それは多分登場人物が淡々と語るものだから、感情移入できなかった為と思われる。
場面描写は、三浦しをん先生絶賛が頷ける。グロテスクさ、気味悪さを与えてくれた。この為の淡々とした場面進行だったとも言えるかも。人間にはどこか気味悪さがあって、それを表現されたのは新鮮だった。
そして最大のトラップは、表題作「僕は君を殺せない」の他に短編「aさん」「春の遺書」が収録されているが、それはこの表題作のサブストーリーではないということ。これはわたしが勝手に引っ掛かったのだし、独立したこの2編もそれぞれの登場人物に人間らしい気持ち悪さがあって面白いのだけれど、事件にトリックがあるわけではなく、ミステリーというよりは少し、ホラーやオカルト?幽霊の要素が強かったと思う。
●総括
本の帯・背表紙を抜きにして読み進めることを薦めたい。
ミステリーなので、詳しく考察とか、オススメする箇所はネタバレになってしまうので断念。私に文才さえあれば、各登場人物に設定こじつけて二次創作とかしてみたかった作品でした。
集英社オレンジ文庫記事→
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